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今月の逸品:島名前野東遺跡の遺物


島名前野東遺跡は,つくば市の南西部を流れる谷田川右岸の台地上に位置し,旧石器時代から近世にかけての遺構や遺物を多数確認しました。平成25年度に行われた発掘調査では,古墳時代の中期から後期にかけての竪穴建物跡6棟のほか,土坑や溝跡,炉跡,方形周溝遺構,ピット群,近代の炭焼窯跡などを確認しました。特に,古墳時代には米作りに加えて畑作が行われるようになると,集落の位置が低地に面した台地の斜面部から平坦な台地の中央部へと広がっていく様子が分かりました。
今回ご紹介する遺物は,当遺跡の竪穴建物跡やその周辺から出土した土師器の坏や甕,甑のほか,土玉,石鏃,スクレイパー,水晶の剥片などです。これらの遺物はほぼ完形に近い状態で出土しています。
 
第140号竪穴建物跡から出土した遺物(坏・甕・小形甕・甑・手捏土器) 第137・140号竪穴建物跡と遺構外から出土した遺物(土玉・丸玉・石鏃・スクレイパー・水晶の剥片)
 

今月の逸品:上境旭台貝塚出土の漆器


上境旭台貝塚は,つくば市の東部に位置する縄文時代後・晩期を中心とする集落跡です。平成28〜30年度に行われた発掘調査において,遺跡南部の斜面部に形成された斜面貝層と東部の低地部の水場,南部から北東部にかけての斜面部は遺物含包層などの様子が明らかになりました。今年度は,それらの報告書作成業務を行っています。  
今回ご紹介する遺物は,遺跡東部の低地部から出土した漆器です。縄文時代後期中ごろ(約4,000年前)のもので,木製の木地に赤や黒の漆が重ね塗りされた,鉢・片口鉢・脚付鉢・柄杓・飾り弓など約40点が出土しました。なかでも,大型の鉢(写真)は,口径32p,器高16p,全体の約4割が残る破片です。外・内面に赤漆が塗られており,内面には別な赤漆で円文や大振りな入り組み文が描かれ,外面の口縁部と胴部には菱形の格子状の区画内に方向が異なる斜線文が施されています。縄文時代の漆工芸の技術の高さを知ることができる優品といえます。
 
漆器鉢外面の口縁部と胴部には,菱形の格子状の区画内に方向が異なる斜線文が施されている。 漆器鉢内面には別な赤漆で円文や大振りな入り組み文が描かれている。
 

 
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