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整理センター国田分館[ご案内マップ]

宍戸城跡(ししどじょうあと)[ご案内マップ]

整理の成果

宍戸城跡は,笠間市の東部(旧友部町)に位置し,標高約28〜36mの舌状台地の東側に広がる東流する涸沼川が形成した標高25mほどの沖積低地に立地しています。調査は平成22年1月から2月にかけて行い,中・近世の井戸跡1基,池跡2か所,土坑6基,堀跡2条,溝跡4条,杭列跡1か所,ピット群4か所,整地層3層などを確認しました。

整理を行った結果,堀跡は近世に描かれた絵図に記載されていないものであることがわかりました。この堀は,宍戸城が廃城になった後に整地されたと考えられる層の下から確認できたことから中世の堀跡と考えられ,中世城館の縄張りを考える上で貴重な資料になるものと思われます。また,整地層の上面から武家屋敷に伴う区画溝や池跡,井戸跡が確認できたことから,17世紀前半頃に武家屋敷が建てられていたことが明らかになりました。出土遺物は織部・志野・唐津焼といった陶器や明から輸入した磁器などが多数出土しており,これらの高級陶磁器が,遠隔地との人的・物的交流により入手されたものと考えられます。また,茶筅の痕が残っていた陶器の碗が出土したことから,当時の武家社会に茶道が浸透していたこともわかりました。

 
写真1 南側上空から見た宍戸城跡
写真2 出土した陶器と金属製品
 

中津川遺跡(なかつがわいせき)

整理の成果

中津川遺跡は,石岡市の南東部に位置し,山王川右岸の標高22〜24mの台地上に立地しています。平成20年12月から平成21年3月と平成21年5月から10月の10か月間調査が行われ,縄文時代から平安時代の住居跡や中・近世の掘立柱建物跡や井戸,道路,墓坑,堀跡などを確認しました。 平成22年4月から平成23年3月まで整理を行った結果,縄文時代から平安時代に断続的に集落が営まれ,中世から近世にかけては墓域や道路として利用されていることが分かりました。

特に弥生時代後期の住居跡から出土している土器は,茨城県西部に分布する二軒屋式土器や茨城県北東部に分布する髭釜式土器の影響がみられ,両方の特徴的な文様を取り入れています。これらの土器の出土により,他地域から移動してきた人達が交流し,当遺跡周辺で独自の文化を生み出したものと考えられます。 また,江戸時代の道路跡は,道路の構築土に水はけの良い土を使用したり,路面の軟弱な部分には陶器片や細礫などを混ぜて補強するなどの工夫の痕が認められ,当時の道路の構築の仕方を知ることができました。

 
写真1 北東上空から見た中津川遺跡
写真2 他地域の影響を受けた弥生土器
 

小作遺跡(こさくいせき)[ご案内マップ]

整理の成果

小作遺跡は,稲敷郡阿見町の北東部,霞ヶ浦の南方約2kmに位置し,清明川左岸の標高約25mの台地上に立地しています。8月のHPでは古墳時代前期の集落跡について紹介しましたが,今回は,奈良時代から平安時代(約1,300〜900年前)の集落跡について,整理作業で明らかになった成果を紹介します。

奈良時代の遺構は竪穴住居跡8軒,掘立柱建物跡13棟,平安時代の遺構は竪穴住居跡24軒,掘立柱建物跡16棟,方形竪穴遺構11基,大形円形土坑1基,土坑23基,ピット2か所がそれぞれ確認できました。 奈良時代の集落は,一辺6〜7mの大形住居と桁行4間以上の大形建物を中心に構成されています。平安時代の集落は,三面庇付建物に代表される大形建物や「氷室状遺構」の考え方もある大形円形土坑,多数の坏類が捨てられていた円筒形の土坑など,特徴的な遺構群が出現し,その周囲に一辺4m以下の小形の住居や倉庫と考えられる建物が建ち並ぶ様子が分かりました。

主な遺物としては,奈良時代では銅鋺を真似た土師器坏や朱墨が付いた須恵器坏,硯に転用された須恵器蓋・盤,平安時代では多数の墨書土器や緑釉・灰釉陶器,土馬などがあげられ,社会的・経済的に優位な立場にある集団であったことがうかがえます。特に,平安時代(10世紀前半)の11文字の仮名文字が書かれた土師器坏は,関東では初めての例であり,地方への仮名文字の普及を知る上で第一級の資料です。文字が確定できなかったため,全体の意味は分かりませんでしたが,和歌の一部である可能性も考えられます。 これらの成果から,当遺跡は,古代の稲敷地域(信太郡子方郷)における有力者の邸宅地と考えられます。国府へ赴く中央の役人などをもてなし,宴会や儀式が執り行われた場所であったと推測できます。

 
写真1 台地上に広がる竪穴住居跡と掘立柱建物跡
写真2 三面に庇が付く大形の掘立
 
写真3 仮名文字が墨で書かれた土師器坏
写真4 馬をかたどった土製品(土馬)
 

根崎遺跡(ねさきいせき)[ご案内マップ]

整理の成果

根崎遺跡は,つくば市の南西部に位置し,西谷田川と高岡川に挟まれた標高約20mの舌状台地南東部に立地しています。調査区域は遺跡の南部で,平成19・21年度にかけて3回,総面積8,753㎡を調査しました。その結果,台地の平坦部から斜面部にかけて,竪穴住居跡21軒(縄文時代5・古墳時代10・奈良時代5・平安時代1),掘立柱建物跡1棟(平安時代),炉穴9基(縄文時代),陥し穴4基(縄文時代),土坑52基(縄文時代2・古墳時代1・時期不明49)などを確認しました。

整理作業によって,当遺跡の集落は縄文時代にはじまり,断続的に平安時代まで続いていたことが明らかになりました。主な出土遺物は,縄文土器(深鉢),土師器(坏・椀・甕・甑),須恵器(坏・蓋),土製品(五鈴鏡形土製模造品・土玉),石器(石鏃・敲石),石製品,金属製品などです。集落がもっとも栄えたのは古墳時代中期(約1,500年前)で,平坦な台地上に2〜3軒の小さなまとまりが複数集まり,一つの集落を形成していたようです。

古墳時代中期の第29号住居跡からは五鈴鏡形土製模造品が8点の土玉とともに出土しています。この時期の住居跡からは,石製模造品が出土することがあり,これらはマツリを行った際に使用されたものと考えられています。今回出土した五鈴鏡形土製模造品と土玉も同じように「マツリ」の際に捧げられたものと考えられ,この時代の祭祀や祈りを考える上で貴重な資料になります。

 
写真1 第29号住居跡は,低地をのぞむ台地上で確認されました。
写真2 五鈴形土製模造品と土玉とともに赤彩が施された坏が数多く出土しています。
 

 
平北田遺跡(たいらきただいせき)[ご案内マップ]

整理の成果

平北田遺跡は,つくばエクスプレスの万博記念公園駅から東へ約1kmに位置し,標高約12〜15mの台地上に立地しています。平成21年10月から平成22年3月まで調査を行った結果,竪穴住居跡29軒,鍛冶工房跡1基などを確認し,古墳時代後期(約1,400〜1,500年前)を中心とした集落の跡であることが分かりました。  

当遺跡では,複数の土製模造鏡が出土し,特定の住居跡から土玉や土製勾玉などが数多く出土していることから,それらを用いたマツリが行われていたと考えられます。また,当時の代表的な甕の形態である常総型甕が多数出土したばかりでなく,底部に数多くの孔がある珍しい甑(こしき)なども出土し,当遺跡が他地域との交流の中で存在していたことも明らかになりました。  今回の調査・整理作業では,茨城県南部の古墳時代の生活を知る上で貴重な資料を得ることができました。その成果は,調査報告書に詳細に記載し,平成23年3月に刊行予定です。

 
出土した遺物
平北田遺跡と万博記念公園駅
 

 
宮原前遺跡(みやはらまえいせき)[ご案内マップ]

整理の成果

宮原前遺跡は,常総市西部の大生郷町,大生郷工業団地の南西約1kmに位置し,鬼怒川と飯沼川に挟まれた標高約20mの台地上に立地しています。調査は平成21年8月から平成22年の1月にかけて行い,奈良時代から平安時代にかけて(約1,300〜1,200年前)の集落跡を確認しました。

今年度の整理作業で明らかになった成果としては,奈良時代・平安時代の集落において,それぞれ集落の中心となる住居跡が確認できました。規模が大きく,鉄製品(刀子・鎌)や土製品(管状土錘・紡錘車)などの道具類が多く出土し,一括管理を行っていたのではないかと考えられます。また,県内で初めて確認された連結竪穴遺構は,その構造や地域環境面から,「氷」を作っていた施設ではないかと考えられます。

 
写真1:西上空から見た宮原前遺跡
写真2:須恵器の集合写真
 

 
堀町西古墳(ほりまちにしこふん)[ご案内マップ]

整理の成果

堀町西古墳は,水戸市の西部,双葉台団地の北東約1kmに位置し,沢渡川が形成した沖積低地をのぞむ標高約39mの台地上に立地しています。調査は平成19年の1月と平成21年の4月から5月にかけて行い,縄文時代中期(約5,000年前),古墳時代後期(約1,400年前),奈良時代から平安時代にかけて(約1,300〜1,200年前)の集落跡と古墳時代中期(約1,600年前)の古墳を確認しました。

今年度の整理作業で明らかになった成果としては,円墳2基と方墳1基が,ほぼ同時期に計画的に構築された古墳群であることが判明しました。古墳の規模や出土遺物から推測すると,中小豪族の墳墓群であると考えられます。また,縄文時代中期のフラスコ状土坑からは,阿玉台U式と大木7b式の土器が出土しており,縄文時代中期の交流の実態を考察する上で貴重な資料になると思われます。

 
写真1:北上空から見た堀町西古墳
写真2:古墳から出土した土師器
 

 

埋蔵文化財講演会を開催しました。

12月18日(土),茨城県立歴史館の講堂において,埋蔵文化財講演会を開催しました。約120人の方が参加され,考古学の楽しさにふれていただくことができました。 講演会は,国士舘大学文学部教授 須田 勉(すだ つとむ)先生を講師としてお迎えし,「常陸国における仏教の受容と新仏教の展開」と題して,古代の茨城県域に仏教がどのようにもたらされ,広まっていったのかについて,寺院の伽藍配置や瓦の文様を例に挙げながら,わかりやすくお話しいただきました。講演会後は,参加者の皆様に同館において開催中の「教育財団調査遺跡紹介展」をご覧いただき,茨城県教育財団の調査員が13か所の遺跡の展示品について解説を行いました。  多くの皆様にご参加いただき,講演会が盛大に開催できましたことを深く感謝申し上げます。なお,「教育財団調査遺跡紹介展」は,1月23日(日)まで開催中です。皆様のご来場をお待ちしています。

 
古代仏教の講演に耳を傾ける参加者
柔和な話し方の須田先生
 
文字の書かれた瓦を解説する調査員
好評な体験コーナー
 

見て,ふれて,楽しい考古学 −2010 茨城県教育財団調査遺跡紹介展−の開催について

茨城県教育財団では,多くの皆様方に埋蔵文化財に対する理解を深めていただくため, 調査遺跡紹介展を茨城県立歴史館で毎年開催しています。 今回の紹介展は,平成21・22年度に実施した発掘調査の成果の一部を一般の方々に公開するもので,旧石器時代〜近世までの14遺跡の出土遺物を展示します。 12月18日(土)には,国士舘大学教授須田勉先生の講演会を実施します。たくさんの方々のご来場をお待ちしています。

 
1期間
平成22年12月7日(火)〜平成23年1月23日(日) 午前9時〜午後5時
2会場 茨城県立歴史館 第3展示室 ※講演会は講堂
3内容 @ 出土遺物の展示
A 講演会(12月18日 13時30分〜15時30分)
演題:「常陸における仏教の受容と展開」
講師:国士舘大学文学部教授 須田 勉 先生
※講演会は事前申し込みが必要です。先着200人
申し込み先:財団法人茨城県教育財団 企画管理課 TEL029−225−6587
B 遺跡説明会(12月18日 15時40分〜16時10分
 
写真1 講演会の様子(昨年度)
写真2 遺跡説明会の様子(昨年度)
 

見て,ふれて,楽しい考古学 −2010 茨城県教育財団遺跡発掘調査ミニ紹介展(In図書館)−を開催しました。

11月2日(火)〜7日(日)の6日間,茨城県立図書館で遺跡発掘調査ミニ紹介展を開催いたしました。6日間で総数1,215人という多くの皆様にご来場いただき,考古学の楽しさを味わっていただきました。ありがとうございました。来場された方々は,阿見町の根方遺跡と小作遺跡の概要や出土遺物の説明に熱心に耳を傾け,先人の知恵や技術の高さに感嘆している様子でした。 12月7日(火)〜1月23日(日)には,茨城県立歴史館で遺跡紹介展を行います。今回展示した遺跡を含め,旧石器から中近世までの13遺跡を紹介します。ご覧いただければ幸いです  

 
写真1:多くの方にご来場いただきました
写真2:鏡のこすり出しに挑戦中!
 

大沢遺跡(おおさわいせき)[ご案内マップ]

整理の成果

大沢遺跡は,笠間市東部(旧友部町)に位置し,涸沼川支流の枝折川左岸の沖積低地をのぞむ標高約36mの台地縁辺部に立地しています。調査は平成21年8月に行い,弥生時代後期(約2,000年前)の住居跡2軒と時期不明の溝1条,土坑5基を確認しました。遺構・遺物の整理を行った結果,第1号竪穴住居跡からは,土製の紡錘車が2点,炉の火床面から石英の破片が19点ほど出土していることから,糸を紡いで布を編んだり,石器の製作を行っていたことなどがわかりました。また,土器の中には栃木県を中心に分布する「二軒屋式土器」と茨城県北部に分布する「十王台式土器」といった他地域の土器がいっしょに出土しており,当遺跡を含む周辺地域に住んでいた人々が他地域との交流を盛んに行っていたことが推測できます。

 
写真1 北東上空から見た大沢遺跡
写真2 出土した紡錘車
 

根方遺跡(ねかたいせき)

整理の成果

根方遺跡は,阿見町の東部に位置し,清明川左岸の標高16〜23mの斜面部から台地上にかけて立地しています。調査範囲は台地の西縁部で,遺跡の南部には諏訪寺院跡が存在しています。調査は平成21年5月から9月まで行い,竪穴住居跡28軒,竪穴遺構3基,粘土採掘坑2基,土坑20基,溝跡2条,火葬墓1基を確認しました。遺構・遺物の整理を行った結果,古墳時代後期(約1,400年前)から平安時代(約1,200年前)までの長期間に渡る集落であったことが分かりました。主な出土遺物は,土師器,須恵器,灰釉陶器,土師質土器,陶器,土製品,瓦,石器,金属製品などです。奈良時代から平安時代の住居跡が多いことから,この時期に集落が一番栄えていたと考えられます。土器類とともに一般の集落では出土しない瓦片(軒丸瓦・鬼瓦・丸瓦・平瓦)もたくさん出土しており,8世紀初頭の第11号住居跡からは軒丸瓦が,第1号粘土採掘坑からは鬼瓦がそれぞれ確認されています。これらの遺構は諏訪寺院跡にもっとも近い位置にあり,寺院に葺かれていた瓦が廃棄されたものと思われます。諏訪寺院跡は古代の寺院と考えられており,8世紀初頭には役目を終えていた可能性があります。

 
写真1 第11号住居跡からは,土器類とともに軒丸瓦が出土しました。
写真2 丸瓦や平瓦に加えて,軒丸瓦や鬼瓦なども出土しています。
 

篠崎遺跡(しのざきいせき)

整理の成果

篠崎遺跡は,阿見町の南部に位置し,圏央道の阿見東インターチェンジから北西500mの,桂川左岸の標高22〜24mの台地上に位置しています。平成21年9月から平成22年3月の7か月間調査を行い,古墳時代の住居跡や中世の井戸や地下式坑,堀跡などを確認しました。

遺構・遺物の整理を行った結果,古墳時代前期の住居跡から出土している土器類は,上総地域や南武蔵地域の影響を受けた甕や壺,東海地方の影響を受けた高坏,北陸地方に初現が求められる装飾器台などで,さまざまな地域の影響を受けていることが分かりました。これらの土器類の出土により,他地域から移動してきた人たちがこの地域で集落を営んだことが考えられます。

また,当遺跡の東の谷を挟んで所在する薬師入遺跡でも同時期に集落が存在し,同じような土器が多く出土しています。弥生時代から古墳時代へと移り変わる中,谷を挟んで両遺跡が関連して集落を維持していたことがわかりました。

 
写真1 北西上空から見た篠崎遺跡(奥は薬師入遺跡)
写真2 他地域の影響を受けた土器
 

 

見て・ふれて・楽しい考古学 −2010茨城県教育財団遺跡発掘調査ミニ紹介展in図書館・埋蔵文化財整理センター−の開催について

茨城県教育財団では,文化財保護強調週間(11月1日〜7日)と,いばらき教育月間(11月1日〜30日)に合わせて,遺跡発掘調査ミニ紹介展を茨城県立図書館と埋蔵文化財整理センターで開催いたします。 この紹介展は,平成21年度に実施した発掘調査の成果の一部や整理作業の様子を一般の方々に公開するものです。県立図書館では解説員が常駐し,展示してある土器や古瓦の解説を行います。お気軽にご質問ください。また,小中学生の皆さんが体験できるコーナーを設けましたので,考古学の楽しさを味わってみて下さい。

 
1期間
平成22年11月2日(火)〜7日(日) 6日間 午前9時〜午後4時 
※埋蔵文化財整理センターは平日のみ
2会場 第1会場 茨城県立図書館ギャラリー[ご案内マップ]
第2会場 埋蔵文化財整理センター国田分館[ご案内マップ]
3内容 第1会場(茨城県立図書館ギャラリー)
1、 出土遺物の展示(阿見町根方遺跡・阿見町小作遺跡)
A 体験コーナー(パズル・土器分け・文様つけ・こすりだし)
第2会場(埋蔵文化財整理センター国田分館)
1、 出土遺物の展示(石岡市姥久保遺跡・境町長井戸遺跡)
2、 整理作業の見学
 
写真1 紹介展の様子@(県庁にて)
写真2 紹介展の様子A(県庁にて)
 
写真3 整理作業の様子(整理センター)
 

 

見て,ふれて,楽しい考古学 −2010 茨城県教育財団遺跡発掘調査ミニ紹介展(In県庁)−を開催しました。

10月5日(火)〜7日(木)の3日間,茨城県庁で遺跡発掘調査ミニ紹介展を開催いたしました。3日間の総数で1137人という多くの皆様にご来場いただき,考古学の楽しさを味わっていただきました。ありがとうございました。 6日(水)に行われたギャラリートークでは,約100名の方々が来場され,阿見町の根方遺跡と小作遺跡の概要や出土遺物の説明を熱心に聞いていただきました。また,体験コーナーでは,実際に土器に触れたり,縄目の文様をつけてみたりと先人の知恵や技術の高さに感嘆している様子でした。 11月2日(火)〜7日(日)は茨城県立図書館で同じ内容でミニ紹介展を行います。今回見逃がされた方は是非ご来場下さい。  

 
写真1:イバライガーも来場しました。
写真2:ギャラリートークの様子
 

 

大学生が職場体験をしました。

茨城県主催のインターンシップ事業で、茨城大学生2名が職場体験に訪れ、整理センターで行っている埋蔵文化財の記録保存の仕事を2週間にわたって経験しました。破片を接合して土器を復元したり、土器の実測図をつくったり、土器の文様の拓本を取ったりと細かな作業に熱心に取り組む姿が見られました。最終日の反省会では、今回の経験を今後の職業選択に生かしたいとか将来に向けての希望を持つことができたとの発表がありました。
事前にお申し込みをいただければ、展示室や整理作業の様子も見学できますので、たくさんの方のご来館をお待ちしています。

開 館 日:毎週月曜日〜金曜日(土・日曜日・祝祭日は閉館)
開館時間:午前9:00〜午後4:30まで

 
写真1:甕が形になってきました。
写真2:輪郭をきちんと描きます。
 

 

見て、ふれて、楽しい考古学 −2010 茨城県教育財団遺跡発掘調査ミニ紹介展(In県庁)−の開催について

茨城県教育財団では、多くの皆様方に埋蔵文化財に対する理解を深めていただくため、 遺跡発掘調査ミニ紹介展を茨城県庁で開催いたします。

この紹介展は、平成21年度に実施した発掘調査の成果の一部を一般の方々に公開するもので、今回は阿見町の根方遺跡と小作遺跡の出土遺物を展示します。また、小中学生の皆さんが体験できるコーナーを設けましたので、考古学の楽しさを味わってみて下さい。

10月6日(水)の12時から13時まで、調査員による遺跡説明会を実施します。たくさんの方々のご来場をお待ちしています。

1期間
平成22年10月5日(火)〜7日(木)の3日間
午前10時〜午後5時
2会場 茨城県庁2F 県民情報センター県政広報コーナー2[ご案内マップ]
3内容
  1. 出土遺物の展示(阿見町根方遺跡・阿見町小作遺跡)
  2. 説明会(10月6日 12時〜13時)
  3. 体験コーナー(パズル・土器分け・文様つけ・こすりだし)
 
写真1:説明会の様子(昨年度)
写真2:体験活動の様子(昨年度)
写真3:根方遺跡展示遺物
写真4:小作遺跡展示遺物
 

小作遺跡(こさくいせき)[ご案内マップ]

整理の成果

小作遺跡は、稲敷郡阿見町の北東部、霞ヶ浦の南方約2kmに位置し、清明川左岸の標高約25mの台地上に立地しています。調査は平成20年2月から7月にかけて行い、古墳時代前期(約1,750年前)と奈良時代から平安時代にかけて(約1,300〜900年前)の集落跡が確認できました。今回は、古墳時代前期の集落跡について、現在行っている整理作業で明らかになった成果を紹介します。

古墳時代前期の遺構は、竪穴住居跡10軒が見つかっています。住居跡は建物の向きや柱・炉の配置などから二時期に分けられます。新しい時期には8mを超える大形住居も作られています。これらの住居跡からは、千葉県中央部や東京湾東岸地域にみられる甕や東海地方の影響を受けて作られた高坏や壺などの土器が出土しています。様々な地域から移動してきた人たちが生活をしていたようです。この地に古墳文化をもたらした入植者のムラといえるでしょう。

 
写真1:南東上空から見た小作遺跡
写真2:様々な地域から持ち込まれた土器
 

 

中央青年の家の体験学習について

中央青年の家主催事業「どきどき体験!歴史の世界へタイムワープ」の体験学習の一環として、参加者26人が整理センター国田分館を訪れ、土器の接合・拓本とり体験,展示室の遺物や整理作業の見学を行いました。接合・拓本とり体験では,大昔の人々が作った土器の精巧さや美しい文様に興味を持ちながら、夢中になって取り組んでいました。整理センター国田分館は、事前にお申し込みをいただければ、展示室や整理作業の様子も見学できますので、たくさんの方のご来館をお待ちしています。

開 館 日:毎週月曜日〜金曜日(土・日曜日・祝祭日は閉館)
開館時間:午前9:00から午後4:30まで

 
写真1:土器がたくさんついたよ!
写真2:こんな文様がとれたよ!
 

西栗山遺跡(にしくりやまいせき)

整理の成果

西栗山遺跡の調査は平成7・19年度の2回行いました。平成7年度分の調査成果については、報告書が刊行されています。今年度は、平成19年11・12月に実施した調査の報告書を作成しています。当遺跡は、つくば市の南西部を流れる西谷田川右岸に広がる舌状台地の南西端に立地しています。平成7年度の調査では、台地の縁辺部から古墳時代中・後期(約1400〜1600年前)、平成19年度の調査では古墳時代後期の遺構と遺物をそれぞれ確認しました。古墳時代後期の集落は、住居が5・6軒で1単位となる集団のまとまりを確認しました。

 
写真1:南西上空から見た西栗山遺跡
写真2:住居跡から出土した甕
 

 

県民大学講座の皆さんの国田分館見学

水戸生涯学習センター主催の県民大学講座の受講生の皆さんが整理センター国田分館に訪れました。ビデオで発掘調査のあらましを視聴した後、整理作業を興味深く見学していました。特に、土器の破片から大形の甕を復元していく遺物の接合作業をしている補助員の周りには幾重にも人が集まり、「細かな仕事で大変ですね」「パズルのように組み立てていくのですね」などという声が聞かれました。身近な遺跡から、古墳時代の人々の生活を想像しているようでした。

整理センター国田分館では、事前にお申し込みをいただければ、展示室や整理作業の様子も見学できますので、たくさんの方のご来館をお待ちしています。

開 館 日:毎週月曜日〜金曜日(土・日曜日・祝祭日は閉館)
開館時間:午前9:00から午後4:30まで

 
接合作業を見る皆さん
調査員の説明を熱心に聞く皆さん
 

姥久保遺跡(うばくぼいせき)[ご案内マップ]

整理の成果

かすみがうら市の北部に位置し、恋瀬川右岸の標高7〜24mの河岸段丘下位からやや起伏に富む台地上に立地しています。調査は、第1次(平成19年10月〜平成20年1月)が2,683㎡、第2次(平成20年6月〜8月)が1,444㎡の合計4,127㎡で、延べ7ヶ月間にわたり調査しました。調査の結果、古墳時代前期(約1,700年前)から平安時代(1,200年前)までの遺構と遺物を確認しました。古墳時代の住居跡は17軒確認しました。

土師器を中心とした遺物からは当時の庶民の生活の様子を垣間見ることができます。奈良時代では、住居跡13軒のほか、掘立柱建物跡を6棟確認しました。平安時代の特徴的な遺物は、多くの墨書土器です。「@」のような「日」の則天文字(7世紀末に中国で制定された文字)や、「上殿」という大きな建物を表すと思われる文字が書かれていました。さらに、緑釉陶器や円面硯の破片、瓦などが出土していることから、当遺跡は恋瀬川対岸の石岡市にあった常陸国府と関係のある人々が住んでいたと想像できます。

 
調査が終わった河岸段丘下位の調査区
出土した墨書土器の一部
 

小幡城跡(おばたじょうあと)[ご案内マップ]

整理の成果

小幡城跡は、茨城町の中央部に位置し、寛政川右岸の標高14〜27mの台地東端部に立地しています。調査は平成17年度から平成21年度まで計3回行い、平成19年度までに実施した3回の調査成果については報告書が刊行されています。今年度は、平成21年度4月に調査した地点(160㎡)の整理を行いました。

小幡城跡は、巨大な堀や土塁を複雑に配置した強固な城で、15世紀初頭に築城されたと伝えられています。今回は、Ⅶ郭と呼ばれる平場から南斜面に下りるところの堀と段切状遺構を調査し、遺構や遺物について考えてみました。文献史料をもとに、小幡城を取り巻く歴史的な環境と遺構の変遷を考古学的に考察してみると、堀跡と段切状遺構は、出土遺物から16世紀代に機能していたことや、当時の小幡城は、大掾氏、江戸氏、佐竹氏と支配者が代わり、小幡城を取り巻く様々な勢力との領地・領民争いの舞台となっていたことが分かりました。このような勢力争いの中で、城の南西部にこれらの施設をつくることによって、Ⅶ郭の防御を高める工夫が施されていることも分かりました。

小幡城跡は、現在でも郭や堀、土塁などが良好に残っており、いかに重要な城であったかを想像することができます。

 
写真1:上空から見た小幡城跡の様子です。本郭の西側にⅦ郭があります。
写真2:城の南西部には、段切状遺構があり、侵入者を防御する役目をしていました。
写真3:現在の郭や堀、土塁の様子です。
写真4:堀からは、菊皿という瀬戸・美濃地方で焼かれていた陶器が出土しました。
 

 
報告書が出来上がるまで

報告書作成では、まず発掘調査で記録した住居跡などの図面や写真、日誌等の点検を行った後、破片で出土した土器を接合し、復元した土器の実測や拓本を取るなどの作業を行います。次に土器や住居跡の実測図をロットリングという特殊なペンでなぞるトレースという作業をします。
土器類は、記録に残すための写真撮影をし、最後に遺跡についての文章とこれらの実測図や写真を編集して印刷し、一冊の本にしていきます。

開 館 日:毎週月曜日〜金曜日(土・日曜日・祝祭日は閉館)
開館時間:午前9:00から午後4:30まで

 
写真1:土器の復元
写真2:図面のトレース
 

なお、整理センター見和では、報告書などの図書の閲覧が可能です。希望される方は、当財団本部企画管理課(TEL:029-225-6587)までお問い合わせ下さい。

 

 
国田小学校3年生の国田分館見学

国田小学校3年生が社会科の学習の一環として、整理センター国田分館を訪れ、展示室の遺物を見学されました。大昔の人々が作った土器を見て感心したり、体験コーナーでは、縄文土器の文様付けや遺物パズルに夢中になって取り組んでいました。
事前にお申し込みをいただければ、展示室や整理作業の様子も見学できますので、たくさんの方のご来館をお待ちしています。

開 館 日:毎週月曜日〜金曜日(土・日曜日・祝祭日は閉館)
開館時間:午前9:00から午後4:30まで

 
写真1:こんな模様ができたよ!
写真2:展示室周りでの活動風景
 

 
整理センター国田分館からのお知らせ

整理センターでは、茨城県内の発掘調査で記録した図面の整理や出土した土器の接合・復元・実測などの作業を行って、報告書を作成しています。
本年度は、水戸市堀町西古墳、城里町藤前遺跡・並松遺跡、茨城町小幡城跡、笠間市宍戸城跡、大沢遺跡、石岡市中津川遺跡、姥久保遺跡、猫松遺跡・長原遺跡、つくば市平北田遺跡、根崎遺跡・西栗山遺跡、阿見町篠崎遺跡、根方遺跡、小作遺跡、常総市宮原前遺跡、境町長井戸遺跡群を整理しています。
なお、展示室では長井戸遺跡群の縄文土器や弥生土器、姥久保遺跡の古墳時代や奈良時代の土器の展示や体験コーナーを併設しております。
事前に申し込んでいただければ、整理作業の見学、書籍の閲覧が可能です。昨年度は児童・生徒を対象にした体験活動も実施し、大変好評でした。たくさんの方のご来館をお待ちしております。

開 館 日:毎週月曜日〜金曜日(土・日曜日・祝祭日は閉館)
開館時間:午前9:00から午後4:30まで

 
ようこそ整理センター国田分館へ
開室した展示室
 

なお、整理センター見和では、報告書などの図書の閲覧が可能です。希望される方は、当財団本部企画管理課(TEL:029-225-6587)までお問い合わせ下さい。

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