www.ibaraki-maibun.org 発掘情報いばらき
発掘遺跡・整理遺跡
情報最前線
概要
発掘遺跡・整理遺跡
これまでの発掘・整理遺跡
小中学生のためのやさしい考古学講座
報告書のご案内
リンク集
HOME
E-mail

鉾田事務所

 

吉十北遺跡(よしじゅうきたいせき 08402-198) [ご案内マップ]

所在地 茨城県鉾田市下冨田字吉十984番2ほか
立地 鉾田市の北西部,巴川左岸の標高30mの台地縁辺部
調査原因 東関東自動車道水戸線(鉾田〜茨城空港北間)建設事業
委託者 東日本高速道路株式会社関東支社水戸工事事務所
調査期間 2014年4月1日〜11月30日
調査面積 5,890㎡
種類 集落跡
主な時代 縄文時代,奈良時代,江戸時代
主な遺構 竪穴建物跡37棟,土坑750基,炉跡15基,溝跡2条,炭窯跡1基
主な遺物 縄文土器(浅鉢・深鉢),石器(打製石斧・磨製石斧・石鏃・石錐・石錘・石匙・剥片・石核・石皿・敲石・磨石),土製品(きのこ形土製品・土器片錘・土器片円盤),須恵器(坏),土師器(甕)
*主な時代をクリックすると年表が出ます。
 

調査の成果

当遺跡は,鉾田市の北西部,巴川左岸の標高30mの台地縁辺部に位置し,縄文時代,奈良時代には集落が営まれ,江戸時代や近代には耕作や製炭などの生産活動が行われていたことが明らかになりました。遺構は,縄文時代の竪穴建物跡35棟,土坑750基,炉跡15基,奈良時代の竪穴建物跡2棟,江戸時代の溝跡2条,近代の炭窯跡1基を確認しました。遺物はコンテナ378箱分にのぼり,そのほとんどが縄文土器や石器などです。当遺跡の中心は,縄文時代中期中葉から後葉にかけての大規模な集落跡であり,当地域における中核的な集落であったと推測できます。東北地方や中部地方との交易や交流を物語る土器なども出土しており,広域にわたる人や物の交流の様子を窺い知ることができます。今後,詳しい整理作業を経て,調査の成果を報告書にまとめていきたいと思います。
 
空中写真(全景-南西から) 空中写真(全景-北西から)
 
空中写真(群在する袋状土坑) 空中写真(さまざまな形態の竪穴建物跡)
 

調査の状況

10月も縄文時代中期中葉〜後葉(約4,500年前)にかけてのフラスコ状土坑や竪穴建物跡の調査を進め,現在までに約20棟の竪穴建物跡,14基の炉跡,約550基の土坑,2条の溝跡を調査しました。二段式竪穴建物跡と考えられる第1号建物跡の調査も進み,溝を伴う上床部の様子をはじめ,下床部では,その四隅に掘り込まれた柱穴,踏み固められた床面などを確認することができました。炉跡は上床部に2か所,下床部からは見つかりませんでした。それらの特徴をもとに県内の二段式竪穴建物跡の類例と比較し,その分布や系統,用途などについて検討して行きたいと考えます。
 
第1号竪穴建物跡(縄文時代)の全景 第2号竪穴建物跡(縄文時代)の全景
 
遺物の出土状況(第68号土坑) 第10号竪穴建物跡(奈良時代)の全景
 

調査の状況

今月も縄文時代中期中葉〜後葉(約4500年前)にかけてのフラスコ状土坑などの調査を進め,現在までに約400基の土坑を調査しました。それらが著しく重複し合っている範囲から,徐々に単独や多くても2・3基が重複し合う範囲へと調査が進んでいます。また,次第に竪穴建物跡が多く構築されている範囲の調査も始まりました。竪穴建物跡は地面(確認面)を40〜50?ほどを掘りくぼめて構築し,踏み固められた床面や屋内炉,柱穴などが確認できました。特筆されるのは第1号建物跡で,その特徴から二段式竪穴建物跡と考えられます。上床部と下床部の二段にわたる掘り込みが特徴です。今後は,それぞれから出土した縄文土器片の時期を検討して,集落の変遷などについて明らかにしていきたいと考えます。
 
第2号建物跡の掘り込み作業 遺物の出土状況(第101号土坑)
 
遺物の出土状況(第281号土坑) 遺物の出土状況(第322号土坑)
 

調査の状況

6月以降,調査区西側から縄文時代の遺構を中心に調査を進めています。その中心は縄文時代中期中葉〜後葉(約4500年前)にかけてのフラスコ形の土坑(通称,フラスコ状土坑,袋状土坑)などで,現在250基を超える数の土坑を調査しました。それらの形態は,壁が緩やかに内傾するものや,1m以上も掘り込まれ,断面が三角形を呈するもの,逆に浅い掘り込みで皿状のものなど,いろいろな特徴が見られます。また,縄文土器や石器などもたくさん出土しています。先日,鉾田市立巴第一小学校の5・6年生児童が遺構の発掘にチャレンジしました。縄文土器を発見する度に大歓声がおこり,文様や大きさを競い合って喜んでいました。「また,発掘がしてみたい」,「おもしろかった」など,子供たちの素直な感想が多く聞かれました。
 
フラスコ状土坑の調査 フラスコ状土坑から出土した縄文土器
 
フラスコ状土坑から出土した縄文土器 楽しい発掘体験(巴第一小学校第5・6学年)

調査の状況

6月から本格的な発掘調査を始めました。現在,調査区西側から縄文時代の遺構を中心に調査を進めています。竪穴建物跡や袋状土坑と呼ばれる断面がフラスコ形の土坑などを数多く発見しました。当遺跡は縄文時代中期後葉(約4500年前)の集落跡と考えられ,環状に竪穴建物跡が巡り,その内側に袋状土坑が密集している状況が予想できます。さて,先日,鉾田市立上島東小学校をはじめ,旭西小学校や旭南小学校の6年生児童が遺跡の発掘にチャレンジしました。自分の手で掘り出した縄文土器を見て,みんな大喜びしていました。「遺跡を身近なものに感じることができた」,「郷土の歴史に興味を持つことができた」など,教室を離れた体験活動の良さを感じられる意見がたくさん聞かれました。
 
遺構の確認状況(東から) 遺跡の見学(上島東小学校第6学年)
 
楽しい発掘体験(旭西小学校第6学年) 驚きの発掘体験(旭南小学校第6学年)
 

調査の状況

4月下旬から始めた発掘調査は,表土除去工事と遺構確認作業を終了し,現在は確認した縄文時代の遺構の調査が始まりました。当遺跡は縄文時代中期後葉(約4500年前)の集落跡と考えられ,多くの竪穴建物跡や土坑,炉跡などが確認できました。わずかですが,縄文時代早期(約9000年前)の尖底土器やスタンプ型石器なども出土しており,縄文時代の複数の時期にわたって集落が営まれた可能性が高くなっています。今後は各遺構の調査を丁寧に進めていきます。先日,鉾田市立大和田小学校の6年生児童17名が発掘にチャレンジしました。みんな,楽しそうに縄文時代の竪穴建物跡を掘り下げ,ザクザクと出土する縄文土器の破片に大喜びしていました。発掘の仕事や郷土の歴史に興味をもった児童が多く見られ,楽しい発掘体験の時間は,あっという間に過ぎてしまった様子でした。
 
遺構確認作業 楽しい発掘体験(大和田小学校第6学年)
 

勘十郎堀跡(かんじゅうろうぼりいせき 08402-048) [ご案内マップ]

所在地 茨城県鉾田市紅葉字新川添924番4ほか
立地 鉾田市の北西部,巴川左岸の標高27〜30mの谷部
調査原因 東関東自動車道水戸線(鉾田〜茨城空港北間)建設事業
委託者 東日本高速道路株式会社関東支社水戸工事事務所
調査期間 2014年4月1日〜11月30日
調査面積 5,770㎡
種類 運河跡
主な時代 江戸時代
主な遺構 堀跡1条
*主な時代をクリックすると年表が出ます。
 

調査の成果

9月下旬に運河跡の現況撮影のため,空中写真撮影を行いました。10月下旬には,運河跡の構築方法を解明するため,運河跡に直交する2条のトレンチを設定し,表土などの堆積土を掘削しました。その後,断面の観察と写真及び図面に記録しました。その結果,自然地形の谷津を巧みに利用している様子をはじめ,基盤層の砂層を段切り状に掘り込んだ様子,掘り上げた砂質土を堀部両側の緩傾斜面に積み上げた様子などを確認することができました。なお,堀部から出土した木片を試料として年代を測定し,自然地形の谷津と人工的な掘削部分を区別する上での手掛かりにしたいと考えています。
 
勘十郎堀跡の断面(堀部) 勘十郎堀跡の断面(緩傾斜面)
 

調査の状況

9月29日,ラジコンヘリによる空中写真撮影を行いました。2日間の清掃作業によって堀跡の地表面を露出させ,近景や遠景,垂直方向からの空中写真を撮影しました。天候にも恵まれ,堀跡の様子がはっきりと解る写真が撮れました。10月中旬以降,本格的な調査が始まります。堀の構築方法を解明するため,堀跡に直交するトレンチを設定し,堀跡の堆積土を掘削して,断面の観察と記録作業を行う予定です。
 
勘十郎堀跡の空中写真(南西から) 勘十郎堀跡の空中写真(北西から)
 

調査の状況

勘十郎堀跡は運河跡であり,江戸時代の大規模な土木工事跡として広く知られています。運河の名として残る松波勘十郎は,藩政改革の請負人として水戸藩に呼び寄せられ,宝永の改革を一任された人です。江戸・東北間の物資輸送の重要な場所に運河をつくり,その通船税で藩の財政を立て直そうとして,紅葉運河と大貫運河の工事に着手しました。紅葉運河は,涸沼西岸の海老沢から北浦にそそぐ巴川流域の紅葉(旧鉾田町)に至る約10キロメートルの大運河でした。しかし,台地を人力で掘り下げる大工事は,農民たちを大いに苦しめ,日雇い銭も支払われなかったため,やがて一揆に発展し,改革は宝永6年(1709)1月に中止となりました。今月は堀跡の現況を確認するため,調査区内の除草作業や空中写真撮影などを行いました。本格的な調査は来月以降になります。堀の構築方法を解明するため,堀跡に直交するトレンチを設定し,堀跡の堆積土を掘削して,断面の観察と記録作業を行う予定です。
 
勘十郎堀跡の現況
 

 
もどる
上へ
2002 Ibaraki education foundation. All rights reserved.