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●埋蔵文化財整理センター[ご案内マップ] |
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当センターでは、発掘調査で確認した竪穴建物跡などの図面や写真の整理、出土した土器などの接合・復元・実測などを行い、遺跡の報告書を作成しています。
〒311-4325 茨城県東茨城郡城里町北方1481
(茨城県埋蔵文化財センター いせきぴあ茨城 内)
TEL:029-289-2002
FAX:029-289-2008
Mail:seiri.center@maibun.ibk.ed.jp
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188 628 008*14
「マップコード」および「MAPCODE」は(株)デンソーの登録商標です。 |
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●今月のイチオシ(2025.2):東田中遺跡出土の土器片錘
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今月のイチオシは、石岡市の東田中遺跡から出土した縄文時代中期中葉から後期前葉(約5,000~4,000年前)の土器片錘です。
土器片錘とは、土器の破片を再利用し、楕円形や長楕円形などに加工して、長軸の両端に切り込みを入れた土製品です。用途としては、魚網のおもりと考えられています。
東田中遺跡の調査では、縄文時代中期中葉から後期前葉の貝層が確認されており、マイワシなどの小魚を主体に、24種類の魚骨が出土しています。これらの魚の多くは、網漁で捕獲したと考えられます。
リサイクルをして作った土器片錘から、縄文人の知恵を感じます。 |
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東田中遺跡出土の土器片錘 |
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●今月のイチオシ(2025.1):鎌田遺跡出土の炉石に転用された石器
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今月のイチオシは、縄文時代中期(約5,000年前)の竪穴住居内の石敷炉に使用された石器です。石敷炉とは、炉床面に石を敷いた炉で、自然礫と共に打製石斧、石皿、磨石、敲石の破片が使用されていました。これらは、使い込まれた痕跡が見られ、炉の構成材として再利用したと考えられます。縄文人の生活の一部がうかがえます。エコですね。 |
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石敷炉に使われた石器 |
竪穴住居内の石敷炉 |
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●今月のイチオシ(2024.12):八反遺跡出土の文字が刻まれた土師器坏
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今月のイチオシは、八反遺跡から出土した、「田」の文字が刻まれた平安時代(約1,200年前)の土師器坏(はじきつき)です。「田」の意味は水田耕作者を表していると考えている研究者もいます。この土器は、竪穴建物跡の竈から支脚の上に伏せた状態で出土しましたが、火を受けていませんでした。このことから、竈を封じるためのマツリに使われた可能性があります。 |
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「田」が刻まれた土師器坏 |
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●今月のイチオシ(2024.10):下大賀遺跡出土の鉄剣
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今月のイチオシは、那珂市の下大賀遺跡から出土した古墳時代中期(約1,600年前)の鉄剣です。
全長65.8cm、幅3.8cmの切っ先から茎尻まで欠けた部分がない完全な状態で、竪穴建物跡の覆土下層から出土しました。権力の象徴として古墳に副葬されることが多い鉄剣が、竪穴建物跡から出土することはとても稀なことです。
なぜ、この鉄剣は竪穴建物跡から出土したのでしょうか。皆さんはどのように考えますか。 |
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下大賀遺跡出土の鉄剣(左:表、右:裏) |
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●今月のイチオシ(2024.9):鎌田遺跡出土の鉄鏃
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今月のイチオシは、つくばみらい市の鎌田遺跡から出土した奈良・平安時代(約1,100~1,300年前)の鉄鏃(鉄製の矢じり)です。
先端に刃がついた細い棒状のもの、先端が三角形で矢印のようなもの、二股に分かれたもの、小ぶりな斧のようなものなど様々な形が見られます。戦闘や狩猟に用いられるもので、細いものは戦闘用、幅の広い三角形のものなどは狩猟用と考える研究があります。平成11年の調査では、20点ほどの鉄鏃のほかに「矢作家」と書かれた墨書土器が出土していることから、矢の使用だけでなく製作にも関わる可能性があります。
矢じりの形や重さがバラバラだと飛び方も変わるので、矢を射る人には技術が求められます。的を射るまでにどれほどの練習が重ねられたのでしょう。 |
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鎌田遺跡出土の鉄鏃 |
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●今月のイチオシ(2024.8):談義所遺跡出土の台付土器
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今月のイチオシは、坂東市の談義所遺跡から出土した縄文時代後期と晩期(約3,500~2,500年前)の台付土器です。
縄文時代後期になると、深鉢ばかりではなく、いろいろな形をした土器が見られるようになります。台付土器もその一つで、短い脚部に大きな鉢が付くもの(左:後期中葉)や、文様のない簡素なもの(右:晩期中葉)など、形も大きさもさまざまです。
特に写真中央の晩期前葉のものは、鉢部が欠損していますが、脚部に精巧な文様が描かれています。円文と三叉文からなる魚眼状三叉文の透かし彫りは、現代の私たちから見てもとてもポップなデザインです。魚が泳ぐような文様に、縄文人たちはどんな思いを込めたのでしょうか。 |
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談義所遺跡出土の台付土器 |
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●今月のイチオシ(2024.7):下河原崎谷中台遺跡出土のナイフ形石器
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今月のイチオシは、つくば市の下河原崎谷中台遺跡から出土した旧石器時代(約2,5000~2,7000年前)のナイフ形石器です。
ナイフ形石器は、石片の鋭い辺(刃)を一部残し、そのほかの辺(刃)をつぶすように加工した石器です。獲物を刺したり切ったりするのに用いられた道具と考えられています。
当遺跡からも、様々な石材で作られたナイフ形石器が50点以上出土しています。長さは、4~6cmのものが多い中、2cmほどの小さいものもあります。こんなに小さいナイフ形石器で何を切っていたのでしょうね。 |
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下河原崎谷中台遺跡出土のナイフ形石器 |
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●今月のイチオシ(2024.6):島名境松遺跡出土の深鉢
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今月のイチオシは、つくば市の島名境松遺跡の土坑から出土した縄文時代後期初頭(約4,000年前)の深鉢です。
口径41.6cm、高さ58.1cm、底径7.9cmの大型品で、当遺跡から出土した縄文土器の中で最も大きなものです。口縁部は緩やかな波状で、胴部の上位でくびれ、底部が小さくすぼむ、優美なプロポーションをしています。
この深鉢は、注口土器とともに出土しました。深鉢内部の土をフルイにかけた結果、炭化したクリの実とオニグルミの殻片、炭化したクリの樹木片を検出しました。
なぜ、深鉢と注口土器は土坑に埋められたのでしょうか。また、どうして深鉢の中にクリの実とオニグルミの殻片を入れたのでしょうか。謎は深まるばかりです。 |
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島名境松遺跡出土の深鉢 |
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●令和6年度の整理遺跡
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出土した土器の復元作業
(島名境松遺跡)
今年度、整理作業を行う遺跡は、下記の通りです。
- 東田中遺跡(石岡市)
- 下大賀遺跡(那珂市)
- 鎌田遺跡(つくばみらい市)
- 三條院城跡(つくばみらい市)
- 島名本田遺跡(つくば市)
- 島名境松遺跡(つくば市)
- 下河原崎谷中台遺跡(つくば市)
- 下河原崎高山古墳群(つくば市)
- 下河原崎高山遺跡(つくば市)
- 八反遺跡(日立市)
- 鶴ヶ居貝塚(行方市)
- 篭沼遺跡(常総市)
- 篭場遺跡(常総市)
- 長丁遺跡(坂東市)
- 談義所遺跡(坂東市)
以上、8市町の15遺跡について、整理作業を開始しました。
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