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埋蔵文化財整理センター

 

宮中野古墳群(きゅうちゅうのこふんぐん)


整理の成果

平成26・27年度に発掘調査を行った宮中野古墳群の整理作業が終了し,300頁の報告書を刊行しました。
整理作業の結果,竪穴建物跡の約半数にあたる23棟の焼失建物の中には,生活痕の残る遺物が見つからなかったこと,土器が逆位に置かれている建物跡がいくつかあったことなどから,必要なものを持ち去った後に意図的に建物を燃やした可能性があることが分かりました。平安時代の火葬墓から出土した骨は比較的若い人骨でした。集落としての機能が終わった後は,周囲の古墳の築造から平安時代まで,当地は墓域として機能していたことがわかりました
 
土器の拓本をとる様子 復元した土師器(甕)
 

殿畠遺跡(とのはたいせき)


整理の成果

平成26年度に発掘調査を行った殿畠遺跡の整理作業が終了し,120頁の報告書を刊行しました。殿畠遺跡は,小美玉市の中央部に位置し,標高22mほどの樹枝状の台地上に立地しています。
整理作業の結果,縄文時代の竪穴建物跡は,当地域では検出例の少ない縄文時代前期前半(関山式期)のものであることがわかりました。また,古墳時代前期の方形周溝墓から出土した土師器の壺は,北陸地方の影響がみられ,遠隔地との交流があったことが分かりました。
 
出土した土器を復元しています 方形周溝墓から出土した土師器
 

六方遺跡(ろっぽういせき)


整理の成果

平成25年度に発掘調査を行った常総市の六方遺跡の整理作業が終了し,94頁の報告書を刊行しました。
整理作業の結果,縄文時代の竪穴建物跡6棟は,出土した土器の特徴から後期前葉(約4000〜3700年前)頃と考えられます。このほか,前期から晩期までの縄文土器片も確認しました。平安時代の竪穴建物跡8棟は,9世紀後葉から10世紀前葉にかけて営まれたと考えられます。特徴的な遺物として,炉壁や羽口,鉄滓など,製鉄・鍛冶に関連する遺物,銅が付着した土器や鋳型など,銅の鋳造に関連する遺物が出土していることから,集落内で製鉄や鍛冶,銅製品の鋳造作業が行われていたことが分かりました。当時の生業の一端をうかがうことができます。
 
 
出土した鉄滓です。  
 

吉十北遺跡(よしじゅうきたいせき)


整理の成果

吉十北遺跡は,鉾田市の北西部に位置する遺跡で,平成26・27年度の2か年にわたって,縄文時代中期の竪穴建物跡36棟,袋状土坑群を含む土坑669基,炉跡7基,陥し穴2基,奈良時代の竪穴建物跡2基,江戸時代以降の炭窯跡や溝跡について整理作業を行いました。
整理の結果,出土した縄文土器は東北地方や南関東地方の影響を受けているものが数多く認められ,広域にわたる人と物の交流の様子をうかがい知ることができました。また,多量の石器には,土掘り具の打製石斧,木を切る道具の磨製石斧に加え,それらを手持ちで成形・砥研した道具と考えられる敲砥石がありました。当遺跡では,石器や木製品などを作り,交易品としていたと考えられ,当地域の拠点的な集落であったことが分かりました。
 
出土した縄文土器 様々な石斧と敲砥石
 

釈迦新田遺跡(しゃかしんでんいせき)


整理の成果

平成27年度に発掘調査を行った五霞町の釈迦新田遺跡の整理作業が終了しました。当遺跡は,五霞町の北部,利根川沿いに位置しています。当遺跡は,平成21・22年度に隣接地の発掘調査を行い,平成23年度にその報告書を刊行しています。
整理作業の結果,縄文時代と中世を中心とした遺跡であることが分かりました。出土した縄文土器は,文様の特徴から中期末葉頃(約4000年前)の頃のものが中心と考えられます。中世では,墓坑と見られる長方形の土坑などが確認でき,墓域として利用されていたと見られます。
 
土器の模様を墨を使って紙に写しとっています。 第281号土坑から出土した縄文土器です。
 

髭釜遺跡(ひいがまいせき)


整理の成果

平成26・27年度に発掘調査を行った大洗町髭釜遺跡の整理作業を行いました。整理作業の結果,8棟の竪穴建物跡から出土した土器は,頸部に縦区画や波状文が描かれる特徴の十王台式と呼ばれるものです。これらは那珂川・久慈川流域で多く確認できる在地の土器で,その他に県西部で多くみられる二軒屋式土器や,東北地方の影響のみられる土器が確認でき,地域間の交流があったことが分かりました。
 
平成27年度調査区遠景(東から) 出土した土器を復元しています
 
出土した弥生土器の実測をしています 出土した弥生土器(広口壺)
 

行人塚古墳(ぎょうにんづかこふん)


整理の成果

平成26年度に発掘調査を行った大洗町行人塚古墳の整理作業を行いました。整理作業の結果,6世紀代の古墳で,後世には古墳の盛土を塚として利用していたことが分かりました。周溝や埋葬施設は確認できませんでしたが,多くの埴輪片が出土しました。埴輪片の中には,武具を模した靭(ゆぎ)や身分ある人にさしかけるうちわや日傘を模したとされる翳(さしば)といった県内では珍しい器財埴輪が含まれていることが分かりました。当時は,様々な埴輪が墳丘に並べられていたと考えられます。
 
出土した埴輪の拓本をとっています 出土した埴輪
 

五蔵遺跡(ごぞういせき)[ご案内マップ]


整理の成果

五蔵遺跡の整理作業が終了しました。平成26年度調査で確認した第18号溝跡は,弧状を呈しており,堆積土の状況から古墳の周溝の可能性があります。しかし,円墳を想定した場合には,墳丘の反対側から土が入り込んでいることになります。そこで,平成23年度の調査成果と検討したところ,南側に第2号墳があり,円形に巡る周溝が確認されていることから,前方後円墳と想定することができ,第18号溝は,そのくびれ部にあたる可能性があります。時期は,出土遺物から5世紀後半と考えられます。
 
遺跡の全景です。 溝の外側(写真右)から土が流れ込んでいます。
 
土器の破片を接合しています。 第18号溝跡の出土遺物です。
 

埃倉遺跡(ごみくらいせき)


整理の成果

平成24年度に発掘調査を行った埃倉遺跡の整理作業を行いました。埃倉遺跡は,坂東市北東部に位置しています。
当遺跡は,縄文時代の陥し穴や石鏃などが確認されたことから,当時は狩猟の場として利用されていたことが分かりました。
奈良時代の竪穴建物跡からは,須恵器の小形短頸壺や土師器の坏,土製の支脚などが出土し,土師器の坏には油煙が付着していることから,灯明具として利用されたと考えられます。
今回確認できた竪穴建物跡は1棟のみですが,集落は調査区の南西部へ広がっていくようです。
 
出土した縄文土器の実測をしています 出土した土師器(坏)・須恵器(小形短頸壺)・土製品(支脚)
 

鐘打東遺跡(かねうちひがしいせき)


整理の成果

平成25年度に発掘調査を行った鐘打東遺跡の整理作業を行いました。当遺跡は,坂東市北東部に位置しています。
縄文時代の陥し穴が確認されたことから,当時は狩猟の場として利用されていたと考えられます。
縄文時代前期の土器片が多く出土していることや,周辺の遺跡から同時期の地点貝塚が確認されていることから,当該期には周辺に内海が形成され,人々の生活の場となっていたと考えられます。
 
出土した縄文土器の拓本をとっています 出土した縄文土器
 

埃倉西遺跡(ごみくらにしいせき)


整理の成果

平成26年度に発掘調査を行った埃倉遺跡の整理作業を行いました。当遺跡は,坂東市北東部に位置しています。
縄文時代前期の竪穴建物跡からは,縄文土器の他に土製品や石器が出土しました。土製品は,棒状で,端部に少し擦ったあとが確認できたことから,乳棒のような用途が推測されます。
今回確認できた竪穴建物跡は1棟のみですが,周辺には同時期の集落が営まれていたと考えられます。
 
出土した縄文土器を復元しています 出土した乳棒状土製品と縄文土器
 

埃倉西遺跡(ごみくらにしいせき)


整理作業の様子

埃倉西遺跡の整理作業の中のトレース作業の様子です。
トレースは,報告書に載せる遺構や遺物の実測図を製図用のペンで清書する作業です。
トレーシングペーパーの上から太さの異なる製図用のペンでなぞり書いてゆきます。
トレースをした実測図は,そのまま報告書に掲載されます。
 
①遺構の図面や遺物の実測図を50%に
 縮小して用紙に貼り付け,仮版下と
 いうものを作ります。
  
②トレース作業の道具です。
 製図用のペン(太さが異なります)や,
 版下用紙です。
  
 
③トレーシングペーパーをかぶせて,
 製図用のペンでなぞり書きます。
  
④トレースが完成しました。   
 
⑤完成したトレースの紙に上掛けをして,
 文字や数字などを書き込みます。
  
⑥完成した報告書の文章と図面です。
 

宮後遺跡(みやごいせき)


整理の成果

平成27年度に発掘調査した,ひたちなか市宮後遺跡の整理を行いました。
第20号竪穴建物跡の竈や柱穴に意図的に置かれた状態で出土した土師器甕や甑は,全容がわかるまで復元できました。建物や竈の廃絶にあってのマツリに使用された土器とみられます。今年度末に,報告書として刊行します。
 
土器の実測をしています。 土器の破片を接合しています。
 
柱穴から出土した土器です。 竈から出土した土器です。
 

吉十北遺跡(よしじゅうきたいせき)


整理作業の様子

吉十北遺跡の整理作業で,縄文土器の拓本を採っている様子です。
拓本は,実測図や写真で表わしにくい土器の文様を記録する方法です。湿らせた紙を土器の表面に貼り付け,タンポで墨をのせていくことで,凹凸を白黒で表現することができます(10円玉のこすり出しのようなもの)。
 
① 拓本を採る道具です。
左:墨,様々な大きさのタンポ
右:霧吹き,綿,ハブラシ
  
② 伸縮性のある「画仙紙」を土器の上に乗せます。
 
③ 紙を湿らせて,土器の表面に貼り付けていきます。 ④ 紙が乾いたら,タンポに墨をつけて,叩いていきます。
 
⑤ 色ムラ・ニジミなく,きれいに採れました。 ⑥ 実測図に貼り付けて完成です。
 

宮中野古墳群 (きゅうちゅうのこふんぐん)


整理作業の様子

宮中野古墳群整理作業の土器復元の様子です。第34号竪穴建物跡から出土した古墳時代の土師器の甕は,出土した時点では形を保っていましたが,土の重みと,長年土の中に埋まっていたためもろくなっており,取り上げの際に割れてしまいました。この破片を接合して組み立てます。すべてのパーツがない場合には,足りない部分に補修材を入れて修復します。最後に,補修した部分に色を塗って完成です。
 
火災にあった住居跡から
たくさんの土器が出土しました。
土の重みなどでヒビが入っていたため
割れてしまっています。
 
破片を接合しています。 土器を復元することができました。
 
破片が見つからなかった部分に
補修材を入れて、形を整えます。
補修した部分に色を塗って完成です。
 

埋蔵文化財整理センターが城里町に移転しました。 2016.4.1


整理の成果

平成28年4月1日から、公益財団法人茨城県教育財団の埋蔵文化財整理センターが,城里町の旧北方小学校に新設される茨城県埋蔵文化財センター いせきぴあ茨城(7月開館) へ移転しました。
当センターでは,発掘調査で確認した住居跡などの図面や写真の整理作業や,出土した土器などの接合・復元・実測作業などを行い,遺跡の報告書を作成します。
今年度は,坂東市の埃倉遺跡・埃倉西遺跡・鐘打東遺跡,常総市の築地遺跡・六方遺跡,五霞町の釈迦新田遺跡,鉾田市の吉十北遺跡・勘十郎堀跡,小美玉市の殿畠遺跡,大洗町の行人塚古墳・髭釜遺跡,ひたちなか市の宮後遺跡,土浦市の五蔵遺跡,鹿嶋市の宮中野古墳群の計9市町村の14遺跡について,作業を開始しました。
お近くにお越しの際は,見学に立ち寄って下さい。

<連絡先>
公益財団法人茨城県教育財団 埋蔵文化財整理センター
 〒311-4325
 茨城県東茨城郡城里町北方1481
 茨城県埋蔵文化財センター いせきぴあ茨城 内
 TEL:029-289-2002 FAX:029-289-2008 Mail:seiri.center@maibun.ibk.ed.jp
 
新しい埋蔵文化財整理センター
(後ろの森には頓化原古墳があります)
 

 
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