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石岡事務所 [ご案内マップ]

〒315-0043 茨城県石岡市中津川123-1番地
112 320 188*51
「マップコード」および「MAPCODE」は(株)デンソーの登録商標です。
 

東田中遺跡(ひがしたなかいせき 08-205-162) [ご案内マップ]
112 321 473*62

所在地 茨城県石岡市東田中字貝柄833番地ほか
立地 石岡市の南東部,山王川左岸の標高24mの台地裾部から台地上
調査原因 国道6号千代田石岡バイパス建設事業
委託者 国土交通省関東地方整備局常陸河川国道事務所
調査期間 2017年7月1日〜2018年1月31日
調査面積 1,052㎡
種類 集落跡
主な時代 縄文時代,古墳時代,平安時代,室町時代,江戸時代
主な遺構 竪穴建物跡2棟,土坑45基,溝跡2条,地下式坑1基,井戸跡1基,ピット群2か所,性格不明遺構2か所,遺物包含層1か所,貝層7か所
主な遺物 縄文土器(深鉢・浅鉢・注口土器,手燭形土器),土師器(坏・高台付坏・小皿・甕),土師質土器(内耳鍋)灰釉陶器(高台付椀・長頚瓶),陶器(鉢・擂鉢),土製品(勾玉・土玉・土錘・土器片錘・土器片円盤・土偶・ミニュチュア土器・丸瓦・平瓦・焼成粘土塊),石器(石鏃・打製石斧・磨製石斧・磨石・凹石・敲石・砥石・石皿・擦切石器・石核・剥片),石製品(垂飾り・石棒・石造物(五輪塔)),鉄製品(鏃・刀子),製鉄関連遺物(鉄滓),骨角製品(ヤス・針),貝製品(貝刃・貝輪),自然遺物
*主な時代をクリックすると年表が出ます。


調査の成果

調査の結果,台地縁辺部から低地部に延びる谷部に,縄文時代中・後期の廃棄された土器や石器などを多量に含んだ遺物包含層と,その下層から長さ約10m,幅約20mの規模で斜面貝層が確認できました。それらは台地上の集落で不要となった土器や石器,食料などの残渣を集中的かつ,継続的に廃棄したことによって形成されたと考えられます。斜面貝層の主な貝種は,ハマグリ,マガキ,サルボウなどの海生の貝で,ヤスや針などの骨角製品や貝輪などの貝製品をはじめ,鳥・獣骨,魚骨などの自然遺物も数多く出土しました。今回の調査で出土した遺物数は,コンテナ(縦40cm×横60cm×深さ20cm)で約1,900箱にのぼりました。斜面貝層の形成時期は,出土した縄文土器の特徴などから,縄文時代中期中葉の阿玉台式から加曾利E式の初め頃にかけて形成されたことが分かりました。貝層の堆積状況の観察などからは,貝や土器などの廃棄行為はまず最初に台地の縁辺部を中心に開始され,徐々に谷の中央部へと拡がっていったことが認めらました。こうした廃棄行為が繰り返された結果,大規模な斜面貝層が形成されたことが確認できました。
 
斜面貝層の堆積状況 台地縁辺部の貝層から出土した縄文土器
 
谷中央部の貝層から出土した縄文土器 貝層形成前の谷地形
 
 

調査の状況

斜面貝層の調査も大詰めを迎えています。第9号斜面貝層は,メインベルトを残して貝層の掘り込み作業は終了し,その下の遺物包含層の調査に入りました。第8号斜面貝層は,市松状に掘り残したグリッドの調査を行っています。貝層からは,新たにアカガイやサラガイなどの貝殻が確認されました。また,イタボガキ製の貝輪やハマグリ製の貝刃が続々と出土しています。特に当時の姿をとどめた縄文土器が貝層の中から発見される様子は壮観です。調査が進むにつれ,谷の形状が徐々に明確になってきました。さらに,谷の南斜面からの貝殻などの廃棄状況や,貝層ごとの特徴や時期が分かってきました。
 
斜面での貝層掘り込み作業 貝層から姿を現した縄文土器
 
 

調査の状況

斜面貝層の調査に入りました。斜面にひろがる貝層は大きく2か所に分かれており,貝層は厚いところで約80cmです。2m×2mの小グリッドを設けて市松状に掘り下げ,貝層の堆積状況を記録しています。貝層からはハマグリやマガキをはじめとする20種程の多様な貝殻を確認しました。また,イタボガキを加工した貝輪やハマグリの貝刃などが数多く確認され,通常の遺跡からは発見することの難しい貴重な縄文人の道具類を見つけることができました。また,イヌやイノシシ,シカといった獣骨類,さらには多量の縄文土器が出土しています。出土した縄文土器から,貝層の形成された時期は約4,500年前の縄文時代中期中葉と考えられます。調査が進むにつれ,霞ヶ浦周辺の縄文時代の人々の暮らしぶりの一端が解き明かされています。
 
厚く堆積した貝層 イタボガキ製の貝輪
 
 

調査の状況

谷部の遺物包含層の下から斜面貝層を確認しました。貝層は,斜面の上から下へ長さ約10m,幅約20mの範囲に拡がっています。形成された時期は縄文時代中期で,谷部が多量の貝殻の捨て場として利用されたと考えられます。貝の種類は,ハマグリ,サルボウ,マガキなどの海水域に生息する貝が目立ちます。このことから,当時は当遺跡の近くまで海水域が拡がっていたと考えられます。貝層の本格的な調査はこれからですが,これまでに,通常の遺跡では残りにくい,獣骨をはじめ,針やヤスといった骨角製品が出土しています。今後の調査によって,霞ヶ浦周辺の山や水辺の恩恵に授かった,縄文時代の暮らしぶりがより一層明らかになると考えています。
 
谷の斜面に形成された貝層 貝層から出土したヤスと獣骨
 
 

調査の状況

現在,集落跡の東側の谷を埋めつくす縄文時代中・後期の遺物包含層の調査を進めています。これまでに後期の遺物包含層を掘り下げたところ,中期終わりから後期初め頃の谷部は,緩やかな斜面であったことが分かりました。斜面貝層が形成されている谷部は,かなり急峻な斜面で,地表から約2m掘り下げた最深部では,台地縁辺部から廃棄された土器が累々と出土しています。これらの中には,完形品や大形破片の深鉢が数多く含まれています。貝層は,これらの土器群の廃棄と同時,もしくはやや後に形成されたものと推測されます。今後の調査で,多量に廃棄された土器群と貝層との時間的な関係をはじめ,それぞれの拡がりを明らかにしていきます。
 
縄文時代後期の緩やかな谷 縄文時代中期の多量に廃棄された土器群
 
 

調査の状況

昨年度の調査で小銅仏像が出土した竪穴建物跡の東側から,竈の構築材に瓦を用いた平安時代の竪穴建物跡を確認しました。この竪穴建物跡の竈は,内壁に平瓦を立てています。天井部が壊されており,天井部の横架材に用いられたと考えられる丸瓦のほか,竈の廃絶時に,合せ口に置かれたと考えられる土師器の高台付坏が出土しました。また,焚口部には,土師器の小皿を合せ口にして埋納した状況を確認しました。竈に用いた瓦は,当遺跡からほど近い茨城廃寺などの瓦が持ち込まれたと考えられます。また,竈の構築時と廃絶時に土師器の坏を合せ口にして埋納する儀礼行為が行われたと考えられ,昨年度の調査の小銅仏像を出土した竪穴建物跡を含め,当集落と周辺の仏教施設との関係を考える上で重要な調査事例と考えられます。
 
竈に瓦を用いた竪穴建物跡 儀礼の痕跡を留める竈と出土遺物
 
 

調査の状況

今年度の調査は,主に台地斜面部に形成された縄文時代の遺物包含層と貝層です。現在,遺物包含層を掘り下げており,その下に眠る貝層の確認調査も進めています。遺物包含層からは,おびただしい量の土器片が出土しており,1日でコンテナ(50cm×30cm×18cm)20箱分も出土した日もあります。遺物包含層は,縄文時代後期の土器を含む層が上層にあり,その下層には縄文時代中期の土器を多く含んだ層が厚く堆積しています。貝層はこの下層の中で確認できます。貝層はハマグリを主体とした海産の貝類で構成され,現在の霞ヶ浦や北浦に広がっていた内海から採集されたものと考えられます。今後の調査で,東田中遺跡を残した縄文人たちの生活の様子を明らかにしていきます。
 
斜面に捨てられた深鉢 埋もれていた貝層とたくさんの土器片
 
 

中津川遺跡(なかつがわいせき 08-205-151) [ご案内マップ]
112 320 155*47

所在地 〒315-0043 茨城県石岡市中津川
立地 石岡市の南東部,恋瀬川左岸の標高24mの台地上
調査原因 国道6号千代田石岡バイパス建設事業
委託者 国土交通省関東地方整備局常陸河川国道事務所
調査期間 2017年7月1日〜2018年1月31日(予定)
調査面積 365㎡
種類 集落跡
主な時代 縄文時代
*主な時代をクリックすると年表が出ます。



 
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