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五霞事務所

 

山王中坪遺跡(さんのうなかつぼいせき 08-542-075) [ご案内マップ]

所在地 茨城県猿島郡五霞町大字山王1497番地ほか
立地 五霞町の東部,江戸川右岸の標高12〜13mの低台地上
調査原因 首都圏氾濫区域堤防強化対策事業
委託者 国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所
調査期間 2016年8月1日〜9月30日
調査面積 988㎡
種類 堤防跡,集落跡
主な時代 江戸時代
主な遺構 堤防跡1条(江戸時代),土坑92基(江戸時代・時期不明),井戸跡2基(時期不明),溝跡1条(江戸時代),柱穴列4条(時期不明),ピット群2か所(時期不明)
主な遺物 縄文土器(深鉢),陶器(碗,小皿,擂鉢,甕),磁器(碗,瓶,猪口),土師質土器(小皿・焙烙),土製品(土錘),石器(砥石),金属製品(釘・煙管),銭貨
*主な時代をクリックすると年表が出ます。


調査の成果

8月から2か月間行ってきた調査が終了しました。調査は,3段階に分けて行いました。まず,堤防を覆っている土を除去し,堤防の形を出しました。堤防の基部からは江戸時代の擂鉢(すりばち)や焙烙(ほうろく)などが見つかりました。明治時代に作成された地図(迅速測図)では,堤防は調査区のあたりで鉤状に折れ曲がって描かれており,今回の調査区は,このクランク部分と考えられます。次に,堤防の下部で確認された盛土面の調査を行いました。ここでは,10基以上の円筒状土坑を確認しました。最後は堤防を完全に除去し,ローム面での調査を行いました。堤防があった範囲より南側で,50基以上の土坑と溝跡1条等を確認しました。土坑は長方形のものが集中して確認され,中には煙管(きせる)や古銭が出てきたものもありました。そのほとんどは,堤防が存在していた時期に作られたものであると考えられます。
 現在,調査区の南側まで江戸川の堤防を強化する工事が進んでいます。調査区もやがて工事が始まり,再び堤防の一部として私たちの生活を水害から守る新たな歴史を歩んでいくことになるでしょう。
 
確認した堤防(左下図の赤丸部分)
『明治時代迅速測図』
堤防の基部から出土した遺物
   
盛土層の遺構完掘状況 調査区全景(最終段階)
   
ローム面で確認した長方形の土坑 出土した煙管(きせる)
 


調査の状況

山王中坪遺跡の調査を始めました。本遺跡は利根川と江戸川の分岐点から江戸川を1kmほど下った辺りに位置しています。近現代の盛り土の下から江戸時代に作られた古い堤防跡を確認し,現在は当時の堤防の形を出す作業を行っています。
五霞に住む人々の水害への取り組みが分かる,貴重な資料になると思われます。
 
堤防の断面図を作成している様子です。 土層断面に堤防の跡(赤線部より下)が見られます。
 

 
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